0009 ヨシタケシンスケ「ぼくのニセモノをつくるには」

絵本

ヨシタケシンスケ「ぼくのニセモノを作るには」

ぼくのニセモノを作って、ぼくがやりたくないことはニセモノにやってもらおう。ロボットにちゃんとぼくのニセモノが務まるように、ぼくはロボットにぼくについて教えることになる。ロボットからの質問を通して、ぼくはぼくという存在を要素分解していく。しかしながら、ぼくをどれだけ要素分解したところでぼくの存在を説明したことにはならない。

ほかの誰かとそんなに変わらないはずのぼくが、どれだけ説明したって、どれだけ分解したって、ニセモノの僕を作る(ぼくを複製できる)だけの定義ができない。なにをもって、ぼくはぼくなのか、それは本人であるぼく自身にもよくわからなくなってくる。ぼくがぼくなのは確かなはずなのに、どうすればぼくはぼくをちゃんと説明して、ぼくのニセモノを作れるのか。

そんなぼくという存在の曖昧さを浮かび上がらせることを通して、ぼくの(そしてあなたの)存在がいかに特別であるのかということを描き出していく。ぼくがぼくであるということはこんなにも当たり前なのに、どんなに要素分解したって、どんなにわけたって説明しきれなくて、説明を尽くしてなんとかロボットに理解させたぼくのクローンは、ぼくにまったく擬態できない。

大きな要素にわけたって浮かび上がって来ない、圧倒的にたくさんの細かな差異の集合体がぼくで、それは他の誰かと似てるようで全く似てなくて、ぼくはたくさんのバリエーションと可能性とイメージの集合体で、小さなようで大きくて。そんな風にぼくの絶対性を軽やかに肯定していく一冊。

なのかどうかはわからないけど、絵がポップで楽しいです。

絵本

Posted by tjknt