0008 五味太郎「のでのでので」

2019/8/7絵本

五味太郎「のでのでので」

とびあがった。とびあがったのではたをサッとあげた。サッとあげたのではなびにひをつけた。つけたのでシュルシュルパッとなった(パラシュート花火)。なったのでなったよとはなした。と物語は「ので」の連結により進んでいく。進んで行くにつれて「ので」という因果の結び目がどんどん解けていくような感覚に陥る。僕たちが信じているほとんどすべての「ので」は実はもっと分解可能なでたらめな連結でしかないんじゃないか、そんな気がしてくる。「のでのでので」は愚直なまでにのでを繰り返すことによって、自明のものに軽やかに疑義を投げかける。

そして同時に(そして反対に)、ここで「のでのでので」がしていることは、「ので」の連携に僕たちを因果から解き放つ手さばきでもって、あらゆる理由(何かをやる動機とか僕らがここにいる存在理由とか)を肯定している。どんな理由だって「ので」ひとつで連結してしまえるのであれば、それが他人あるいは自分にはどれだけでたらめに見えたとしたって、それさえも軽やかに「ので」と肯定してしまうことが可能だということだ。ここで五味太郎は生きることすべてを肯定している。

なんてことはどこにも書いていない、ので、みんな読むと、良い。

2019/8/7絵本

Posted by tjknt